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rena's world story★a.n.r.r.y
第20章 おまけのSS① *★* ジャックのSOS
とは言ったものの
カーテンで仕切られた室内からは、客の笑い声が聞こえてくるし
俺の後ろでは風と波の音が揺れて、夜景が輝いている。
……酒の入った状態でこのシチュエーション。
浮かれるなっつー方が無理。
「……暫く、外食禁止だからね」
いつもだったらすぐに離れようとする美和が
俺の胸に頬をつけたまま、猫みてぇにゴロゴロし始めた。
「は? 外食禁止?」
「今夜は贅沢しすぎだもん。
明日から急な飲みのお誘いは断ってください」
「こんなので贅沢ってアホか…」
「贅沢だよ!
も~~、未だに独身気分なんだからっ」
眉を寄せて美和がそう言い放ったけど
目が合うと同時に、その顔に笑みが零れた。
……なんとなく、つられちまって
美和の瞳に映る俺の表情も、同じような気がして
想いが込み上げてきて、さらに強く美和を抱きしめる。
「……毎日のお夕飯。
節約レシピでも、美味しく作るからね」
「はいはい」
「あ、帰ったら洗濯物取りこまなきゃ!
明日朝から雨降るって言ってたし」
「はは、ムードねぇな」
……笑っちまうくらい、何気ない会話。
それでも
ずっと恋焦がれてきた笑顔が、目の前にある
輝く瞳が、真っ直ぐ俺だけを見つめている
……美和が、俺の心を幸せで満たしてくれる。