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rena's world story★a.n.r.r.y
第5章 2人で、一緒に
「……悪い」
綺麗な声でハッと我に返る。
暫く止まっていた時間が動き出して、周りの音が聞こえ始めると
私の手首から、彼の右手が静かに離された。
「強く引き過ぎた」
「……えっ!?」
「怪我してねぇ?」
「……だ、いじょうぶ、です」
触れられていた手首にそっと反対側の手をあてる。
……熱くて、ドキドキして、心臓が飛び出そうだ。
「………っ」
背が高くて足が長い、完璧なスタイル。
パーカーの上に羽織ったクルーネックカーディガン
グレンチェックパンツは、裾だけロールアップしていて
カーキ×ブラックの、秋先取りの絶妙なコーディネート
……誰がどう見ても、雑誌から飛び出してきたモデルとしか思えない。
「……あ、の…」
「初めまして、じゃねぇな」
見惚れてポーっとする私の前で、彼はそう呟くと
肩に掛けていたボディバッグを胸の前に回して、小さく笑った。
「姫宮蓮」
「………!」
「周りの仲間達にも、あんたの旦那になる奴にも
学生時代からずっと、ヒメと呼ばれている男です」
「………っ」