この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
rena's world story★a.n.r.r.y
第5章 2人で、一緒に

……瞳を閉じた彼を見て
熱い何かが込み上げるのを感じながら、空港の場面を思い出した。
「………っ」
“ 実際に、今俺が感じてることなんだけど ”
── 窓ガラスに視線を移して、空を見つめる彼の
切なくて優しい表情が蘇る。
“ 寄り添えないのに傍にいるって、すげー辛いんだ。
だから
寄り添える相手になれた
一緒にいることを、相手も望んでくれた
……それだけで、幸せなんだよ ”
「……っ 姫宮さん……」
涙が溢れそうになるのを、必死に抑えながら
私は腕を伸ばして、そっと彼の拳に手を添えた。
「あなたと蓮のことも……彼女さんのことにも
私なんかが入ったらいけないって、分かってるけど」
「………」
「でも、これだけは言えます。
彼女さんは、あなたから離れたりしないわ」
「……!」
「絶対に」
……分かるの。
ずっと悩み続けて、迷い続けた彼女でも
今はきっと
心の綺麗なこの人だけを、真っ直ぐ見つめていることを……

