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好きにさせて
第11章 距離


部屋に入り

「無理言うてごめんな」

と言いながら
ソファに座ると
茜は

「ううん」

と言いながら
俺の隣に腰を下ろし

ホッとする


声のトーンも表情も
茜はいつも通りで
怒ってる感じでもなければ
俺を嫌ってるようにも見えない


けど

俺が少し
茜に身体を寄せると

茜にスッと
視線をそらされ

…マジで凹む


けどとりあえず
怒ってるかどうか
聞かな…


「聞きたいことあってな…」


「うん…なぁに?」


「なんか…
俺、茜怒らすようなこと
したか?
もしそうやったら
謝りたいねんけど…」


すると茜は
俺から視線を外したまま
うつむき
小さな声で呟いた


「ごめん」


「え?なんで?
なんで
茜が謝ってんねん」


「尚が言いたいこと
わかってるから

だから…ごめん」


そう言って
茜は
頭を下げた


「ちょ、ちょっと待てって。
俺が悪いんやないんか?
俺がなんかしたから
俺を避けてるんやろ?」


うつむく茜の顔を
覗き込んだけど
茜は
俺と視線を合わせてくれへん


「なぁ…茜?」


「尚…」


「なんや?」


「私が…甘え過ぎたんだと思う」


「何言うてんねん。
甘え過ぎなんかやないで?
もっと甘えてええくらいや。
お前は昔っから
甘えるのヘタやから
そう思うだけで
俺は全然足りんくらいなんや」


「だからダメなの」


「え?」


「尚が優しくしてくれるから
つい…

恋人でもないのに…」


「………」


あかんかったんか?

キスも


セックスも


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