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好きにさせて
第13章 不通
その夜
珍しく
なかなか服を着ない茜を
抱きしめて
俺達は
ただ
黙ったまま
身体をピタリと密着させて
時間を過ごしたけど
俺は
茜に
言いたいことも
言えず
優しい言葉を
かけてやることも
できず
少し凹んでいた
こんなに
『そのこと』を意識しながら
この先俺はやっていけるんやろうかと
不安になったからや
無意識に
ただ普通に
当たり前のように
過ごせる日が
いつかは
訪れるんやろうか…
多分
何も言わない茜もきっと
俺と似た気持ちなんやろう
今の俺達は
お互いの気持ちが
不通なまま
けどそれでも
いつか
通じる日が来ることを
願いながら
長い夜を過ごした