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好きにさせて
第2章 二人

「お待たせ
もうすぐタクシーも来るから」


「あ、いや、そうか、わかった」


しばらくして
店に戻ってきた茜は
ワンピースに着替えていて
俺は少し
変な返事をしてしまった


いつものシュッとしたシャツと違って
柔らかそうな生地の
ワンピースに覆われた茜は
ええ雰囲気で
さっきよりも
唇がツヤツヤしてて

しかも少し
恥ずかしそうで・・


可愛らしく見えた


そっちの方が
可愛らしいなぁ


そう言いたかったけど

そんな事言うたら
口説いてるみたいで
引かれそうで

時間を気にしてる理由や
ちょっと元気がない理由
付き合うてる男が
おるんかどうか
結局何も分かってない俺は
その一言が
言えなかった


「アパートどのへんなの?」


やっぱり茜は
ちょっと照れてんのか
それを誤魔化すように
あまり俺と目を合わさないまま
テーブルを簡単に片付けながら
話しかけた


「藤沢の家の近くや。
せやから藤沢先に
下ろしてから帰るわ」


ほんまは
藤沢の家の近くと
全然違うけどな


「うん、わかった。
今日は付き合ってくれて
ありがとね」



「俺こそ楽しかったわ」



「よかった」



そう言って笑う茜は



やっぱり

俺の好きやった茜で




可愛らしいなぁと


言えばよかったと

俺は少し後悔した
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