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孤城の中のお姫様
第2章 山川静香(やまかわしずか)〜都内有名私立大文学部4年年〜
相沢圭司は気を取り直し、ミニテーブルから落としたノートやペンを拾い上げ、テーブルを整理し直すと、テレビを消し、カーテンの端をチラと開けて、外を覗き見た。

私はその間、部屋のドアを後ろ手で閉め、外を歩いて少し汚れた靴下を脱ぎ捨てた。

相沢圭司は、振り返って立ち上がったまま、腕組みをして私を見ている。相沢が次に何を言うかは、容易に察しがついた。

「もう母屋には戻らないから…。私を力づくで監禁したりしないでよっ!そんなことしたら、明日、相沢に誘惑されてここに来たって言うからねっ!山本さんはどっちの言うことを信じるかなぁ…?」

「静香さん!私を脅すんですか?それとも首にしようと…?」

「勘違いしないでっ!私がなんで家族より親しい相沢を首にさせるのよっ!私は相沢がすぐ隣にいるのに、逢えないし、まるで監禁されてるみたいだから、相沢に逢に来ただけよっ!誰にも解らないように…。」

「すぐ戻ってください!」

「嫌っ!ここにいるっ!」

「お願いです。静香さん。私の言うことを聞いてください。」

相沢圭司は、一転、声のトーンを落として話した。

「相沢は、私の願いを聞いてはくれないのっ?」

「静香さんのお願いとはなんですか?ここにいることは、叶いませんよ。お話ししたはずです。」

相沢圭司は毅然と対応しながらも、汗をかいて、まだ狼狽の色を隠せずにいた。
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