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孤城の中のお姫様
第2章 山川静香(やまかわしずか)〜都内有名私立大文学部4年年〜
相沢圭司は私の横にティッシュペーパーを箱ごと置いた。

「静香さん、とにかく、泣かないで、涙を拭いて。それからパジャマを着ましょうね。」

私は涙を拭いて、泣いて流れた鼻水も拭った。

「はいっ、ごみ箱です。ここに捨てていいですよ。」

私の足元にごみ箱を置いてくれた。

私は涙を拭いてはティッシュペーパーを丸めて捨て、鼻水を拭ってはティッシュペーパーを丸めて捨て、黙って俯いていた。膝の上のパジャマにも涙が落ちた。

「少しは落ち着きましたか?」

「相沢…。」

「なんですか?」

「ごめんなさい。」

「誤らなくてもいいんです。…でもその姿で静香さんが、窓から叫んだら、いくらこんな田舎でもすぐに警察に通報されます。私は未成年の少女に暴行したことになって、緊急逮捕されてしまいますね。そして、明日には、国会議員の私設秘書が、地元で議員の高校3年の長女に乱暴したと、ニュースやワイドショーを賑わすことになるでしょう。山川先生も記者たちに取り囲まれ、秘書の監督責任を追わされるかもしれません。または秘書に名を汚されて逆に同情されるか…いずれにせよ、世間の耳目を集めてしまいます。静香さんだって、学校に行けなくなりますよ…。」

相沢圭司は私の短慮を淡々と諌めた。
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