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それでも大好きなんだーっ!
第4章 お、お母様Σ(゚Д゚;)
怒りの収まらない母親は、思い付く限りの悪態を吐いていた。

そんな母親を宥めながら、リビングのソファーへと座らせた翼。

うさこが見つからないように…その気持ちから慌てて着た服は、半袖のTシャツとスエットのズボン。

下着を履く暇がなかったから、動く度、何だか気持ちが悪い。


(ノーパンうさこの気が知れない)

こんな時なのに、うさこの事を想うと翼の顔に笑みが浮かぶ。


「ビール出して」

恐ろしいほど目を釣り上げて、ソファーに座る母親が立ったままいる翼を見上げる。 

「昼間から飲むの?」

翼は、溢れそうになるため息を飲み込む。


母親がこんな状態の時は、言う通りにしないと余計に機嫌が悪くなりそうだ。

翼はキッチンへと歩き、冷蔵庫を開ける。

「一晩中働かされたのよ!文句ある⁉︎ 」


昼間はセールスレディ、夜はフロアレディ。

翼が生まれる前に亡くなった父親に代わり、女手一つで育ててくれた母親。

どれだけ寂しくて辛い思いをさせられたとしても、やっぱり感謝している。

それでも…

「1本で終わりにして」

翼は、ビールを1本だけ母親の前へと差し出す。


”1本で終わりにして”

切実な、翼の願い。

酔った母親は ”女” になるから。


思わず俯いた翼に、気付く様子もない母親。

「油断も隙もないわ、あの泥棒ネコ!翼はパパに似てイケメンだから気をつけなさい!」

年々 父親に容姿まで似ていく翼は、母親にとって父親の ”身代わり” だ。


「心配しないで。昨日あの人は来なかったから」

母親が1ヶ月前から付き合っていた彼氏のセイ。

その名が本名かもわからない。

言い寄られればその気になる。

寂しさを埋めてくれれば誰だって構わない。

母親はそんな女だ。

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