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それでも大好きなんだーっ!
第4章 お、お母様Σ(゚Д゚;)
母親を安心させようと、

深雪を庇おうと、

翼が発した言葉。

それが、母親の怒りに火を付けた。


「何でよ!何で来ないの⁉︎ 」

「母さんが仕事だったからでしょ?」

冷静に答えるけれど、翼の心は不安と嫌悪に、嫌な音を立てて軋み始める。



「女よー!新しい女を見つけたんだー」

若いセイには、この母親は重過ぎる。

10以上も年上の、この母親に飽きたんだ。

予感があったのか、母親は大声で泣き出した。


翼の身体から、血の気が引いていく。

(これ以上汚れたら、うさこに…触れることすら許されなくなる……)

身の危険を報せる頭の中の警告音。

わかっているのに、身体が動かない。


回された腕に囚われる。

母親の元へと引き寄せられた翼の身体は、この先の嫌悪より、母親に抱き締められたという喜びに震える。


「翼ぁ!翼は私から離れないでぇ」

泣きじゃくる母親は、翼の胸に縋り、その身体をキツく抱き締める。

「……うん」

母親からの重い重い鎖は、翼の心も身体も深い深い闇へと沈めていく。


「抱いて?」

そう縋る母親の瞳に映る翼の姿は、

その昔、愛して止まなかった大切な人……突然に、自分を置いて死んでしまった ”最愛の主人” 

と重なる。


「……無理だよ。深雪がいる」

翼の心は、

(うさこ…うさこ……っ)

うさこの名を連呼してもがく。


「追い返してきなさい」

「……ごめん。今日はそういう気分になれない」

必死にもがく翼の心を、


「あんたまで!あんたまで私を棄てるの!」

ガシャ─────ン‼︎

テーブルの上から落とされたグラスのように、


母親の怒鳴り声が叩き割った……


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