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いつかは結婚できると思い込んでる私へ
第2章 2
デスクに戻った荏原は書類を広げ、彼の抱えているその他の小さな案件の整理を始めていた。
何か声をかけてやりたい気持ちを、あやみはグッと堪えた。
荏原も男だ。情けない時に慰めの言葉をかけられればより惨めな気分になる。
姉のような気持ちはいつしか少し変化し、複雑な心持ちで彼の立ち直りを見守っていた。

荏原は他に大きな案件を抱えてはおらず、雑用に近い仕事しかなかったが、自分を責めるかのようにいつまでも念入りに資料を見直していた。
やがて一人二人と帰宅していき、九時を回る頃にはフロアには荏原とあやみの二人だけとなっていた。

「あー、疲れたぁ……」

わざとらしい間の抜けた声をあげ、あやみは肩を揉みながら立ち上がる。

「荏原さん、お疲れ様。よかったらこれから飲みに付き合ってくれない?」

微かに笑いながら彼に歩み寄る。
そこでようやく荏原は顔をあげた。
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