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いつかは結婚できると思い込んでる私へ
第2章 2
しかしサポートを続けてきたあやみは彼と同じように動揺してしまい、固まったままだった。

「はい……失礼します……」

荏原は青ざめた顔で受話を置いたまま、しばらくうつ向いていた。
努力が無に帰した時、それがいい経験になったと思えるまでには時間がかかる。
『努力は無駄にはならないよ』
今の荏原にその言葉をかけるのはあまりにも残酷に思えた。
彼の悲しみは共に戦ったあやみには痛いほど分かってしまう。

しばらく放心した後に、荏原は立ち上がって部長のデスクに向かい、今回のコンペに敗れた報告をした。
部長も電話のやり取りを聞いていたので今さら驚くことはない。

「そうか。ご苦労様。今回の反省点を忘れず他の案件を頑張れ」

表情を変えずに告げる部長に荏原はもう一度深く頭を下げて「すいませんでした」と謝罪した。
そのすいませんは彼の口癖のすいませんよりも苦渋に満ちた響きが感じられた。
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