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第2章 2

言葉にならない感情が声となり、熱い吐息として彼女の胸の中でくぐもる。
あやみは黙って荏原の頭を撫で続けてやるしかなかった。
荏原は落ち着くと共に手を伸ばし、恐る恐るあやみの背に回した。
先程までとは違う昂りを感じさせる力で抱き締められる。

「荏原さん……？」

涙の止まった彼の顔にはまだ不安がこびりついていた。
あやみはゆっくりとその唇に自らの唇で触れる。
男として見たことがなかった荏原とのキスは不思議なくらい胸が高鳴った。
触れた唇を離すのが惜しいくらいに感じる。
『駄目……これ以上したら後戻り出来なくなるっ……』
頭ではそうわかっているのに、あやみの舌は意に反して伸びてしまう。

「んっ……」

舌が彼の唇に触れるとあとは成り行きだった。