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sunset~君の光になりたい
第3章 雨は涙色
中田ヒロは、車窓越しの冬の雲った冷たい空を見ていた。
彼は空を見るのが好きだ。
空は、いつも違う色をしている。
特に、冬の澄み切った空を眺めるのが良い。
今日は朝から小雨が降り続いていた。
不意に大きな粒が窓を打ち付ける。一瞬大きな丸い固まりになったかと思うと、あっという間に風が浚って行く。
ふと、昨日マウンテンレコードでぶつかってきた店員の顔が浮かんだ。
言葉をかけたとたん、みるみる蒼白になり倒れた彼女。
抱き起こした時、震えながら微かな声で
「……から……許して……」と呟き気を失ったのだ。
閉じた瞼から涙が一筋零れ落ち、ヒロの右手に伝った。
温かいその感触を思い出そうとするかの様に、彼女の涙が触れた右手を眺めていた。