この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
sunset~君の光になりたい
第4章 粟立つ気持ち
「ねえ里沙、私、どこか変じゃない?」
店内の従業員控室で、千波が姿見で自分の全身を上から下までチェックしている。
「何回聞けばわかるのよ。大丈夫だって!」
里沙は苦笑いしながら、手鏡を手に口紅を引き直す。
今日は、店で、ロックバンド
『thunder』の新曲リリースキャンペーンのインストアライブが開催される。
会場の準備は整い、整理券を持ったお客様達も、thunderが現れるのを今か今かと待っている。
そろそろ、バンドが到着する時間だ。
里沙は、まだ鏡の前にへばりついている千波に声をかけた。
「ほら、行くよ!」
「待って……」
「心配しなくても千波は今日も美人だって!」
千波は、目立つほどの美少女というのではないが可愛らしい女の子だ。
真っすぐでサラサラの黒髪に陶器のような肌。
里沙が見ても可愛いと思うし、羨ましくも思う。