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第5章 second impact

｢せっかくのチャンスじゃん！先にこの間の事ごめんなさいして来なさい！私はもう行くからね！｣

　里沙は早口でまくし立てると、歩きながらアナウンスを始めた。

｢お客様こんにちは！"マウンテンレコードなんば店"にお越しいただき、ありがとうございます！
　thunderのミニライブが３時半から始まります。
　ギターの中田ヒロさんの自動車事故による負傷で、活動休止を余儀なくされたthunderは約一年間の活動休止を経て、新曲"sunset"をひっさげ見事復活を果たしました！
　大阪出身のthunderは、今日のこのライブから本格的に活動を始めます。
　名古屋を皮切りに全国２０か所をまわるワンマンツアーです！　
　かれらは、一年間、ただ沈黙していた訳ではありません。素晴らしい楽曲たちを生み出しています！
　さあ、覚醒したthunder、今年の最重要アーティストです！
　かれらのパフォーマンスにご期待下さい！｣

　見事なアナウンスに会場から拍手と歓声が起こる。
　里沙は歓声に応えるように笑顔で手を挙げながら、突っ立っている千波に向かって
(さっさと行きなさい)
　と云いたげな表情で、メンバーの居る楽屋の方へ向かって指差して目配せをした。

(――いけない。つい見とれてしまった)

　時間が迫っている。
　千波が足早に楽屋へ向かう中、里沙はまだアナウンスを続けていた。