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sunset~君の光になりたい
第5章 second impact
「きゃあっ!」
「うわっ!?」
倒れた瞬間、思わず目を瞑ってしまったが、身体の何処にも痛みは感じなかった。
床に倒れたのではなく、何かがクッションになったのかもしれない。
瞼を開けると、シャツから伸びた逞しい腕が見えて、千波の心臓がドキンと跳ねた。
「……びっくりさせんなや――!またあんたか!」
「!」
その声に我にかえり、身体を半分起こす。
千波はヒロの身体の上に覆いかぶさる体勢になっていた。
「ヒロ、大丈夫か?」
「店員さん?大丈夫っすか?」
メンバーが声を掛けて来たが、千波もヒロも、何故か動けずに見つめ合った。
ヒロは、とても不思議な髪の形をしていた。
根本まで大胆に刈り上げたところは黒髪で、サイドで分かれた長い金髪がサラサラと流れていて、風になびいたら、とても綺麗なんだろう、と思った。
この間は、この人を見てとても恐ろしかった。
――でも今は……
「……あ、あの……」
ヒロの上に乗ったまま、やっとの思いで声を出す。
ヒロは大きな目を瞬きさせて、やけに真剣な顔で千波を見つめていた。
「……なんや」
「甘いものはお好き……ですか」
千波は、倒れた時にバリバリに割れてしまったクッキーの袋を、あっけに取られた表情の彼に向かって差し出した。