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sunset~君の光になりたい
第1章 プロローグ
『……波……千波……』
――チ――ナ――?
鼓膜の奥に届く微かな、小さな声にぼんやりと振り向く。
チナ――
て、何だったかしら……
何秒間か、意味が分からなかった。
再び声が耳に届いた時に
"チナ"
が、私の名前ということが理解出来た。
『千波……千波』
誰かが、呼んでる……
涼やかに響く、低い声で――
けれど、私は濃い霧の中。
貴方は見付ける事が出来ない。
"貴方"って……?
(――誰の事……?)
思い出そうとすると酷く頭の奥が痛み、邪魔される。
貴方は……
――――ダレ?