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sunset~君の光になりたい
第8章 hold on
ヒロは頭を掻いた。
「ごめんな~ガキなメンバーで……でもいい奴らなんや。昔からの友達だしな」
「そうなんですか?素敵ですね……友達とバンド組んでるなんて」
「ほら、あんたもあの友達」
「里沙ですか?はい。ずっと仲良しで……小学生の頃からなんです」
「へえ!そりゃ、長い付き合いなんやな」
「里沙には助けられてばかりで……小学生の時にも」
そこで千波がハッと口をつぐんだ。ヒロが訝しげに見る。
小学生の時、と言い掛けてそれ以上話せなくなった。
何か重要な事が確かにあるのに、千波の中で何かがせき止めている様に思い出せない。
「おい、あんた……大丈夫か」
ヒロが心配そうに声をかける。
千波は鉛のように重たい固まった思考を振り払うように、無理矢理笑顔を作って頷いてみせた。
「おいヒロ。さっきから、あんたあんた、って失礼やんか!」
銀川が口を尖らせてヒロを後ろからつつく。
「女性に向かって"おい"とか"おまえ"とか "やい"とか"あんた" 呼びは破局を早めるんやで」
オーちゃんが真剣な眼差しで言う。
「そっか――成る程!勉強になるわ――ヒロ!わかったかあ?ほら!ちゃんと千波ちゃんの名前を呼ばんと!」
武彦もオーちゃんに続いて囃し立てる。
「お前らマジでうるさいな……ちょっと黙っとけ!」
ヒロが声に苛立ちを滲ませた。
「ひょえー!ヒロが怒ったー!」
「メンゴメンゴ!許してー」
「あっ!もうすぐ開演やん!準備せな!
ヒロ、先に俺らチューニングしてるからなー」
三人はがやがや言いながら楽屋を出てステージに向かい、千波とヒロだけになった。
「……ほんまに体調悪いんか?あの里沙って子のインフルもらったんかな?」
ヒロは、うずくまった千波と同じ姿勢になって静かに語りかけた。
「ごめんなさい。もしそうなら……移したりしたら大変……」
「そんな事言ったん違うわ!」
彼は大きい声で怒鳴る。千波は一瞬身体をびくりと震わせ、そのまま固まった。ヒロは向こうへと行ってしまった。
「ごめんな~ガキなメンバーで……でもいい奴らなんや。昔からの友達だしな」
「そうなんですか?素敵ですね……友達とバンド組んでるなんて」
「ほら、あんたもあの友達」
「里沙ですか?はい。ずっと仲良しで……小学生の頃からなんです」
「へえ!そりゃ、長い付き合いなんやな」
「里沙には助けられてばかりで……小学生の時にも」
そこで千波がハッと口をつぐんだ。ヒロが訝しげに見る。
小学生の時、と言い掛けてそれ以上話せなくなった。
何か重要な事が確かにあるのに、千波の中で何かがせき止めている様に思い出せない。
「おい、あんた……大丈夫か」
ヒロが心配そうに声をかける。
千波は鉛のように重たい固まった思考を振り払うように、無理矢理笑顔を作って頷いてみせた。
「おいヒロ。さっきから、あんたあんた、って失礼やんか!」
銀川が口を尖らせてヒロを後ろからつつく。
「女性に向かって"おい"とか"おまえ"とか "やい"とか"あんた" 呼びは破局を早めるんやで」
オーちゃんが真剣な眼差しで言う。
「そっか――成る程!勉強になるわ――ヒロ!わかったかあ?ほら!ちゃんと千波ちゃんの名前を呼ばんと!」
武彦もオーちゃんに続いて囃し立てる。
「お前らマジでうるさいな……ちょっと黙っとけ!」
ヒロが声に苛立ちを滲ませた。
「ひょえー!ヒロが怒ったー!」
「メンゴメンゴ!許してー」
「あっ!もうすぐ開演やん!準備せな!
ヒロ、先に俺らチューニングしてるからなー」
三人はがやがや言いながら楽屋を出てステージに向かい、千波とヒロだけになった。
「……ほんまに体調悪いんか?あの里沙って子のインフルもらったんかな?」
ヒロは、うずくまった千波と同じ姿勢になって静かに語りかけた。
「ごめんなさい。もしそうなら……移したりしたら大変……」
「そんな事言ったん違うわ!」
彼は大きい声で怒鳴る。千波は一瞬身体をびくりと震わせ、そのまま固まった。ヒロは向こうへと行ってしまった。