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sunset~君の光になりたい
第11章 切ない黄金色
 千波はビックリして傍に屈み込んだ。

「……膝でやるもんなんやよ……膝カックンは……」
「そうなんですかっ!?」
「地味に新しいわ……指も……結構くるわ……」

 ヒロは、ふるふる震えてまだうずくまっている。
 心配になり顔を覗きこんだ瞬間、彼はお腹を抱えて笑い出した。

「ハハハハ……ナイスボケや!最高!この手、今度銀川にもやってやるかな……ビックリするやろうな!」

 眉毛をハの字にして屈託ない笑顔で笑っているヒロに千波もつられて笑った。

(――不思議。ついさっきまで不安で仕方なかったに……)

 千波が笑い止みじっと見詰めていると、ヒロが決まり悪そうに頭を掻いた。

「……馬鹿みたい、て引いてる?」
「引いてないよ!凄く面白い!ふふ……」

 二人は自然に手を繋ぎあい、動物園へ向かって歩き出した。
 千波は、彼の金色の髪が光に透けて見とれながら、母を追いかけていた光景の中のイチョウの金色を思い出した。

 ――また、思い出すと苦しくなるのかも知れない。
 けれど、今は悲しくない。
 多分、悲しくなっても、この手が私を引っ張ってくれる――

 千波が手をぎゅっと握り締めると、彼も握り返してくる。
 胸が痛くなるような、嬉しくて泣きたくなるような不思議な感覚に襲われる。

 ――生まれて初めての、こんな気持ち。
 こういう気持ちを人は『恋』
 と呼ぶのかしら――




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