この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
sunset~君の光になりたい
第12章 KISS
「千波!どうしたんや!」
ヒロは、必死に呼びかけた。
「……て……ゆるして……」
千波が身体中を震わせる。
「……何でも……るから……ゆるし……」
ヒロはガタガタ震え口走る千波を支えた。
――これは単なる恥ずかしいとか、男が苦手だとかいう問題じゃない。
千波には、大きな抱えている物が何かある。
普段は姿を現さないその大きな闇を、きっと俺が呼び覚ましてしまったのだ――
ヒロの背筋が寒くなった。
「千波……千波……ごめんな……怖がらせて、ごめん……」
ヒロは、背中を出来るだけそっと擦りながら優しく語りかけた。
この言葉が果たして、今の千波に届くのか分からない。
そうするより他の方法が見付からなかった。
「怖がらそうとして、こんな事したんやないんや……許してくれ……」
震えが止まらない小さな肩を見て、泣きそうな気持ちになる。
大事にしたいと思っている女の子をこんな風にしてしまった。
こんな時、どんな言葉も役には立たないのだろうか?
『ねえ……泣いて……るのかい?
ねえ……悲しいのかい?
……涙のままで……いいから……
僕と絵を書こうよ……』
ヒロは、唐突にthunderのバラード“蝶々”を口ずさむ。