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sunset~君の光になりたい
第12章 KISS
「千波……ごめん……ごめんな」
物凄く情けない声が、ヒロの口から出ていた。
「ヒロさん……謝らないで……私が悪いの。ヒロさんは悪くない。ごめんなさい……」
千波が悲しさを含んだ、しかし甘い声で言う。
「千波……」
ヒロは言葉が見つからない自分が、とてつもない馬鹿に思えた。
彼女を抱き締めるしか出来なくて、胸に引き寄せて肩先に顔を埋める。千波が小さく呟く声が耳を擽った。
「私の事……嫌わないで下さい……」
うっすら赤い目で見つめられ、ヒロの目にも涙が浮かんだ。
「阿呆……!嫌う訳ないやないか!」
――もう、泣かせたくない。
いや、泣くなら、俺の前でだけで――
ヒロは、千波を抱き締めながら強く思った。