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sunset~君の光になりたい
第13章 月夜に願う
真夜中。里沙は眠れずにベッドの上で何度も寝返りをうっていた。
今夜は満月で、外は昼間の様に明るかった。
月の満ち欠けが人のバイオリズムに作用するという話を耳にした事がある。丸く輝く月を眺めていると、突然叫びたくなったり、自分の中のなにかが目覚める様な気がしないでもない。
里沙は、窓際に立ち、小声で吼えてみたが、一気に馬鹿馬鹿しくなり、カーテンをピッチリ閉じた。
何か飲もうと部屋のドアを開けると、隣の千波の部屋から明かりが漏れ、thunderの曲が聴こえてくる。
そういえば、今日はまだ千波に会っていない。里沙が寝ている時間にヒロとのデートに出掛けたからだ。里沙が仕事から帰ってきたら千波もすでに帰ってはいたが、疲れたのか部屋に篭りきりだった。
キッチンに降りカモミールティーを二つ入れトレーに載せて二階へ上がり、そっと千波の部屋のドアをノックした。
「起きてる?」
すぐにドアが開いた。
千波の表情はどこか浮かない。様子がいつもと違うような気がして、カップをテーブルに置きながらじっと見詰めてしまった。