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sunset~君の光になりたい
第13章 月夜に願う
二人は数秒間、唖然としていた。そして顔を見合わせ、くすくす笑った。
「ねえ里沙、今日は一緒に寝ない?」
「そうだね。久しぶりだよね。小学生の頃はよく一緒に寝たよね」
里沙と千波は並んでベッドに横たわった。
「……里沙」
「うん?」
「……ありがとうね」
「何よ、急に」
「……今では、里沙やペコさんが……私の本当の……家族だよ」
里沙は、千波の手をそっと握った。
「そんなん、当たり前やん」
「うん……お休み……」
千波は、すぐに静かな寝息を立て始めた。
千波が小学二年の時に両親が離婚し、母親も娘を捨てて出て行った。それ以来この家に住んでいる。
"千波は私が守らなくちゃ"と、ずっと思っていた。
(――けれど、千波にも大切に思える人が出来たんだね……)
嬉しくて、少し切なかった。
里沙は瞼を閉じる。
――皆が幸せになれればいいのに――
そんな願いは叶わない事は知っている。
けれど今だけは、そう願っていたかった。