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彼方
第5章 調教
「君がぼくに触れられるのを望まないなら、もう止めるよ。」


薫の突然の言葉に、ちなみは呆然とした。


彼は彼女から身を離し、ベッド脇の椅子に腰掛けた。


ちなみは薫の手から開放されると、安堵感よりも欲望の燻りを強く感じた。


薫に火をつけられた彼女の肉体は、


今や穏やかな関係よりも彼の体を強く求めていたのだ。


彼女はそんな自分を汚らわしく感じる。


先輩にもっと触れられたい!自分の大事な場所を愛でてもらいたい!!!


どうしようもない欲望が、ちなみを突き回していた。


薫は苦悩するちなみの表情を読み取り、ほくそ笑んでいた。


「ちなみちゃんはどうやら、愛撫の続きが欲しくてたまらないみたいだね。


ぼくも、もちろんやぶさかじゃないよ。


でもぼくとしては、ちなみちゃん自身の口からそう言ってくれないと続きはできないな。


・・・・・ちなみちゃん、ぼくが欲しかったら自分からぼくを求めてよ。


君自身で服を脱いで、裸になってぼくを誘惑するんだ」


ちなみはカッと顔が朱に染まった。


そんなふしだらなこと、できっこない!


薫は相変わらず不敵な笑みを浮かべながら、ちなみを見下ろしている。


薫先輩が、こんなにドSだったなんて!!!


ちなみはめまいを感じた。


何もかも刺激的すぎて、お腹いっぱいだったのだ。
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