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彼方
第5章 調教
「お待たせ。赤ワイン、飲む?」


薫は上等のボルドー産の赤ワインをグラスに注ぎ、杯を煽った。


それからちなみの唇に自らの唇を重ね、彼女の口内に血のような液体を注いだ。


彼女の中でワインは熱を帯び、とろんと喉元を過ぎていった。


薫のエキスが濃厚に溶け込んだワインは、


他のどの飲み物よりもちなみにとって美味だった。


あまりアルコールに強くないちなみは、それだけで酔い心地になる。


薫は二杯目をグラスに注いでいる。


ちなみは口をわずかに開き、再び薫の唇から注がれるワインを待ち受けた。


しかし、薫は今度はちなみの小さな口ではなく、


彼女の剥き出しの肉体の上に杯を傾けた。
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