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情画
第9章 初日
後悔もあるけれど、先週の色々な出来事の訳がわかったこともあって、
久しぶりにぐっすり眠り、すっきりと目覚めた。

実を送り出しインターホンを押す。先生しかいないと思うとドキドキしていた。

「どうぞ。」

逸る気持ちを抑えて玄関に向かった。
薔薇の香りが鼻を擽る。
春らしい爽やかな天気だった。

カラン…カラン…

「おはようございます。着物に着替えてきてください。」

ワタシは急いで着替えた。

「おはようございます。」

先生は薔薇を描いていらした。葉の色付けをしている。八年前に最初に訪れた時のことを思い出していた。

「もう少しで終わりますから、待っていてください。」

ワタシは先生の斜め後ろに置かれた椅子に腰掛けた。

葉の1枚1枚が色を与えられ、紙から離れて命を芽吹く。

やはり、先生の絵が好きだ。先生も先生の持つ筆も、そこから生まれる作品も、全てを愛おしいと思った。

「さて、お待たせしました。」

コトリと筆が置かれ、先生が振り向かれる。
それだけでワタシの胸は高鳴った。

「今日をどう過ごそうか、昨晩から色々考えていました。

一緒に絵を描こうか、貴女の絵を描こうか…

でもやはりこれしかないと思ったのです。」
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