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情画
第1章 再開

「いただきます。」

「どうぞ」

先生は振り向いてくださらない。

ワタシは紅茶に口をつける。カモミールティーだった。


「突然お邪魔してすみません。」

「いや、よく来てくださった。」

背を向けたままで会話は続く。

「ずっと逃げ出したままにしてすみませんでした。」

「仕方ないことです。
今日はどのくらい時間ありますか?

お子さんが帰ってくるまででしょうか?」


「は、あ…」

「貴女は気づいていないようだが、沙絵が何度か貴女たちとすれ違ってるんですよ。」

「そうでしたか。」

「あの時妊娠していて体調が優れなかったんでしょうね。

男の子だそうですね。」

「は、はい。」

「お子さんに恵まれてご家族仲良くなれて良かったです。」


「先生…」

ワタシは、秘密を話してしまいたかった。
でも、踏みとどまった。

「一つ聞いてもいいですか?」

「はい。」

「塀の絵を見て、思い出話をしにいらしたのですか?

それともまだ僕への気持ちがあると思っていいですか?」


「先生…思い出なんて…
ずっと…ずっと…ごめんなさい…逃げ出したままにして…」


「ああ、また泣かせてしまいましたね。ご覧なさい。」
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