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マスケッティア・オブリージュ ~凌辱の四美銃士~
第9章 催眠暗示の生贄
 絶望が胸を締めつける。一瞬にして両腕を失ったのだ。地に落ちた腕を拾おうとして、拾おうにも腕が伸ばせないことに気づく。

 中腰の姿勢でうろたえるカーラ目掛けて、横なぎの一撃が襲い掛かる。

 ズガッ!

――あがあっ……ああああああっ!

 ここでようやく悲鳴を上げることを思いだした。

 今度は脚が飛ばされていた。

 バランスを崩して仰向けに倒れるカーラの目に、天高く追撃の戦斧を振りかぶる面頬の男が映る。

 ズドン!

 最後に残っていたもう一方の脚が血を噴いて宙に舞う。

――あ……あああ……ああああ

 かつて味わったことのない喪失感。

 無茶無謀を専売特許とするカーラであったが、ここまで取り返しのつかない事はなかった。両腕両脚を失い、仮に生き延びたとしてもどうしろというのだ。死よりも過酷な運命を悟る。

 しかしそんな心配など必要のないことだ。四肢の切断面から血は際限なく流失を続ける。手足のない姿を野に曝して自分は死ぬのだ。

 と、男の巨体がのしかかってくるのを感じた。乱暴に胸と腰の着衣が剥ぎ取られる。

――やっ……やめろっ!
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