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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第12章 春の嵐
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翌日の木曜日、早朝。
ユキは私より先にマンションを出て行ったけど
その日、必須の実技科目を欠席した彼の姿は、構内でも見ることはなかった。
金曜日は、半年に一度の全国会議が終日行われていて
本部の主要メンバーが集まるその中に、当然ながら遼くんも含まれているから
いつもより人の少ない静かなフロアで、私は黙々と仕事をしていた。
……たった2日だけだけど
心にぽっかりと穴が空いたような喪失感があって
だから
「春ちゃん」
「………!」
「お待たせ」
約束の、土曜日。
指定された駅前の交差点に、ユキが現れた時は
ホッとしたような、温かい気持ちになった。
「って、まだ1時前だよ。
いつから待ってたの?」
「……あ、私も今来たところ」
「そう? ならいいけど」
金色の髪を光らせて、ニッと笑うユキ。
同じく待ち合わせで立っている女性達の視線を、独り占めしてる。
……トクン、と心臓が鳴って
ズキンって、心臓が痛んだ。