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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第14章 救いの扉

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「誰かいるのか?」



その声で、顔を上げると

フロアの扉を開けた、私服姿の男と目が合った。

俺が手を上げると


「……んだよ、加賀谷か」


眉間にシワを寄せてそいつは溜息を漏らす。


「不気味。
パソコンの光だけあたってるから、お前の顔ホラーになってるんだけど」

「日曜だから、節電しなきゃいけねぇのかと思って」

「アホ。 視力落とすぞ」


企画部の天井だけ、パッと照明が付けられて

手元の時計が、夜の7時になっている事に気付く。


「加賀谷が休日出勤なんて珍しいな」


そう言いながら、宮本はスイッチから手を離すと

ポケットから営業車のキーを取り出して、壁面の棚にひっかけた。

営業部のエースは、土日出勤も当たり前なんだろうけど

宮本が言った通り、俺が日曜に会社に来るのは滅多に無い。

普段何百人といるフロアは、シンと静まりかえっている。


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