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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第14章 救いの扉
「宮本、お前は?」
デスクの上の図面を片付けながら、そう聞くと
営業部のスペースに進んで、宮本は持っていた紙袋を置いた。
「接待だよ、すげー面倒だった」
「接待?」
「表向きはな。
途中から、取引先の常務の娘が出てきやがった」
「……あー、そういうこと」
「ったく。
この土産、貢ぎ金でも入ってるんじゃねーだろうな」
今年29になる独身。
社内一、仕事の出来る男。
内外・公私問わず、奴の元には数えきれねぇほどの見合い話が殺到しているらしい。
重厚な桐の箱を取り出して、忌々しい表情を浮かべる宮本。
「……加賀谷、てめぇは何してんだよ」
笑った俺を、溜息を漏らして睨んできた。
「何って、真面目に仕事してるんですけど」
「嘘つけ。
日曜に出るほど、企画部にやることなんて無いだろーが」
「はは、ひでぇな。
マジで終わってないんだって」
“ 重要機密事項 ” と書かれたマニュアルを、宮本に向けて掲げる。
「潜伏してた、宇宙人に侵略されたせいで
セキュリティ関係が面倒になってさ」