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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第16章 サヨナラ、春ちゃん
今日は、5月1日。
五月晴れと呼ぶに相応しい、雲ひとつない青空が広がっている。
昨日、遼くんが待っていた花壇を通り過ぎて
7号館までの構内を、ゆっくりと歩いていく。
「今日で、最後って感じがしないな……」
広大なキャンパスの中で、楽しそうに笑い合う学生達。
この歳になると、彼らのパワーにいつも圧倒されていて
それでも、過ごした4年間はとても充実した日々だった。
……今日で、お別れ。
その言葉が、ズシンと胸に重くのしかかって
泣き過ぎて腫れたまぶたを、そっと閉じたけど
意を決して、少しペースを上げて足を動かした。
暫くすると、大学内で1番高い8階建ての校舎が見えてきて
ユキに言われた通り、エレベーターで屋上まで上がる。
扉を開けると、ふわっと春の風が舞い上がった。