この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第16章 サヨナラ、春ちゃん
胸が苦しくて、ぎゅっと心臓が締め付けられる。
そんな気がすると呟いたユキが、私から視線を逸らしたけど
私は彼の手を強く握り返した。
「……それなら、ユキは……?」
「………!」
ユキが言ってくれたように
こんな私でも、ほんの僅かな光となって
遼くんの心に灯りを灯せるのだとしたら……
「ユキのことは、誰が救ってくれるの……?」
「………っ」
「……ユキ、の、心は……っ
どうしたら癒すことができるの……?」
……声が、震えてしまう。
こんなこと、聞いたところでどうしようもないし
わたしが、こんなことを言える立場じゃないって分かってるけど
それでも
ユキの悲しみや苦しみが無くなることを、願わずにはいられない。