この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第16章 サヨナラ、春ちゃん
「……はは。
ほんと泣き虫だね、春ちゃん」
……一瞬
切なさに満ちた瞳が揺れたように感じたけど
ユキは片手を外して、私の頬を軽くつねった。
「俺は平気だよ。
この先、きっと誰かに巡り逢えると思う」
「………!」
「まだ若いからね♪」
白い歯を見せて笑うユキ。
私の瞳からは、止めどなく涙が溢れているから
悲しい空気にならないように、ユキが懸命に笑顔を作ってくれている。
「それに、俺逹は初めから期間限定って決まってた」
「………!」
「……春ちゃんの想いが、義兄さんに届くまでの……
その時が来たんだよ」
「……それは、でも……」
私の恋心は、伝えてはいけないし
遼くんが受け取ってくれるはずがない。
……それでも
ユキは小さく頷いた。
「大丈夫。あの人なら、大丈夫だよ」
優しい、穏やかな声。
「分かるんだ、俺。
これでも弟だからね」
「………っ」
「……優しい人だから。
春ちゃん、きっと幸せになるよ」