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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第3章 8年めの片思い
「ったく、かったりぃよな」
会議室から皆出ていって、私と遼くんだけが残ると
遼くんは首をコキコキ鳴らしながら、溜息をついた。
「ご、ごめんなさい。
忙しいのに、お時間取らせちゃって……」
「なんで、違うよ」
そうじゃなくて、と言って
遼くんは私を隣りのイスに座らせる。
「俺はもう数年前から、お前を正社員にしたいって言い続けてたんだ」
「…………!」
「面倒な雑務も嫌がらずに、真面目にやってくれるし、要領もいいし。
何よりも、人とのコミュニケーション能力に長けてるからな」
そ、そんな風に評価してもらってたんだ……!
どうしよう、嬉しくて手足が震えてきちゃうよ。
「デザイナー気質云々ってよりも
組織に属してる以上、大事なのはそこじゃん?」
遼くんはそう言って、ふっと笑みを浮かべた。