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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第17章 約束
桜の木の前に、2つ並んだベンチ。
俺の座る左側に、上を向いたまま首を揺らしている女が居た。
……いつの間に……全然気付かなかった。
つーかなんなのこの人、すっげー酔っ払い。
もう10時過ぎてるんだから、1人で公園なんか来るなよな。
『……ねぇ、聞こえてないでしょ?』
って何度か話しかけてんのに、泥酔女は意味不明な口パクを繰り返すから
その変な動きに苦笑しながら、俺は渋々立ち上がった。
……仲間達と逆側で酒を飲んでる男のグループが、この女に目をつけたのが見えたから
面倒だけど、知り合いのふりをしてやった方がいい。
『水、あっちから持ってきてあげようか?』
『………』
『……あのさ、ちゃんと聞い…』
『……か、帰ります!』
はぁ?
何を勘違いしたのか、その女は突然凄い勢いで立ち上がって
『……あぶな……っ』
……速攻、カクッと膝から崩れ落ちると
腕を伸ばした俺の体に倒れ込んできた。