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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第17章 約束
……酔って朦朧とした彼女に、いきなりキスをした理由は
色んな感情が入り乱れていて、衝動的だったとしか言いようがない。
2人の結婚記念日の夜に、泣きそうな顔で桜を見上げる程
義兄さんを想っている、この女を可哀想だと思ったからかもしれないし
華奢な体が綺麗で、顔も可愛い20代半ばのいい大人が
その歳にして男を知らないことが、信じられなかったのもある。
だけど
軽く表面を舐めただけの俺のキスに、膝が折れる程痺れていて
強引に押し掛けた部屋で、必死に俺の背中にしがみつく彼女を見て
……単なる憐れみと興味本位だった心に、違う感情が宿ったのを感じた。
“ ……し、したことないの……っ ”
……いやいや、冗談だろ?
処女ってことに驚くとか引くとかじゃなくて
あんた、一体どれだけの間片想いを続けているわけ?
その様子だと、気持ちは隠したまま伝えてないんだろ?
『………』
……義兄さんは
気付いてないのだろうか。
俺の腕の中で、何度も義兄さんの名前を口にするくらい
どうしようも出来ないくらい、惚れてるってことを……