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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第17章 約束
「……あなたの、お姉さんは
お兄さんの幸せを願っているの……?」
掠れ声の竹中さんの質問に、俺は大きく頷いた。
「間違いないよ。
義兄さんを救えるのは、春ちゃんしかいない」
「………!」
「俺自身が、そう感じたんだ」
……7つも年上なんて、到底思えない。
一生懸命で、明るくて
素直だけど、ちょっとドジで
慌てて真っ赤になる顔や、戸惑う姿を見るだけで
もーしょうがないなぁって、手を差し伸べてあげたくなってしまう。
春ちゃんが、笑って傍にいてくれるだけで
心に花が咲いたように、温かく包まれた気持ちになる。
……春ちゃんなら
きっと、義兄さんの心を優しく照らしてくれる。
「……はは、惚れた弱みだよね」
「………」
「本当に、太陽みたいなんだもん。
この俺が、ストーカー並みに追いかけちゃうくらい…
……!」
……静かな研究室に、ポタッと滴が跳ねる音が聞こえて
左に体を向けると、竹中さんの目から
またひとつ、涙が頬を伝って流れ落ちた。