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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第17章 約束
「……確信したのは、墓地で2人を会わせた時」
咄嗟に動揺を隠した義兄さんだったけど
俺が “ 春ちゃん ” と呼んだだけで、分かりやすく顔色を変えていた。
……そして
「春ちゃんと一緒に歩き始めた後に、そっと振り返ったら
……義兄さん、すごく切ない瞳で春ちゃんを見てたんだ」
「………!」
「行かないでって。
傍にいてくれって……
春ちゃんに向けて、全身でそう訴えてた」
「………っ」
「……その後ろで、姉貴も泣いていて
“ 遼を助けてあげて ” って……
俺、そう言われた気がしたんだ」
……あの時、突然の春風が吹き荒れて
墓石の後ろから、桜の花びらが俺達の上に舞い散ったのは
義兄さんを抱きしめてあげることも、背中を押してあげることもできない
そんな姉貴が、必死で伝えようとしていたメッセージだったんだと思う。