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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第17章 約束

……姉さん姉さんって、春ちゃんがこの人を慕う理由が分かる気がした。


義兄さんと同級生のこの人でも、状況は詳しく知らない。

それでも、皆の幸せを願うと口にして溢れる涙が

決して同情では無いということが、ちゃんと伝わってくる。



「……俺は、泣かないよ」



ニッコリ笑ってみせて、ティッシュの箱を竹中さんに近付ける。



「今頃、春ちゃんが泣いてると思うんだ」


「………!」


「想いはきっと伝わるから、泣く必要は無いんだけど
……春ちゃんも義兄さんも、心が苦しいはずだから」


「………っ」


「俺は、泣かない」





“ ありがとう、ユキ…… ”




……お礼を言うのは、俺の方だよ春ちゃん。

姉貴が死んでから、ちゃんと笑ったのは初めてだった。


最初は感情移入して、春ちゃんを癒したいって思うだけだったけど

本当に救ってもらっていたのは、俺の方だったんだ。


……過ごした時間は本当に短かったけど

涙の理由は、違っても

寂しくて悲しい夜に、貴方は俺の傍にいてくれたから



俺は、また笑うことができた。


そして


義兄さんの笑顔を取り戻す方法を、知ることができたんだ。



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