この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第18章 涙の告白
.。.:* side 春菜 *:.。.。.:**:.。.。.:**:.。.。.:*
ビジネス街だけでなく、歓楽街としても名高い港区の北側。
有名なタワービルの52階に、展望台と併設した美術館がある。
建物内の展示空間としては、日本最高所に位置する施設で
現代アートやデザインの催しの際には、遼くんの作品も度々展示されていた。
「………」
夜の8時。
11時まで営業しているこのギャラリーには、平日の夜でも沢山の人で賑わっている。
……それでも
これだけ多くの人で溢れかえった場所でも
7年片想いを続けている私の目は、彼の姿をすぐに見つけることが出来た。
「……加賀谷さん」
アートギャラリーと、展望台の入口があるフロア。
出版社の人に別れの挨拶を終えた、遼くんの背中に向けて
そっと呼び掛けると
「………!」
「……お疲れ様です」
「……春菜……?」
スーツ姿の遼くんが振り返って
ペコッと会釈をした私を見て、大きく目を見開いた。