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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第18章 涙の告白
「何やってんだお前」
首から関係者用のカードを下げた遼くんが、怪訝な顔をして近付いてきた。
「遼くん、もう終わったの?」
開催中のイベントの出品者として、夕方から取材を受けていた遼くん。
彼のスケジュールは、私の頭の中に完璧にインプットされている。
「あぁ、今やっと解放されたとこ」
「……スーツ、珍しいね」
「マジで疲れた。
着慣れない格好で長時間拘束されてたから、さっさと帰りてぇよ」
「………」
「その前に煙草……ってだからそうじゃなくて」
ネクタイを緩めながら、遼くんが溜息を漏らした。
「お前、主役のくせになんでここにいるんだよ。
今夜は大学の送別会だろ?」
「………」
「今何時……それともこれから行くわけ?」
袖を捲って、腕時計を確認しようとした遼くんが……
その途中でピタッと止まった。
スカイギャラリーと呼ばれる、フロアは一面窓ガラスになっていて
大都会の夜景を魅せる為に、館内の照明は最小限に落とされている。
……私の顔を覗き込む、遼くんの表情が歪んだ。