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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第19章 今夜だけ、許して…
……遼くんの迷惑になることは、絶対にしない。
ユキと別れて、遼くんの居る美術館に向かう途中で
繰り返し、固く心に誓っていた。
遼くんが私の手を取ってくれたとしても
私達のことを、誰1人として知られてはいけない。
……告白をすること自体が、迷惑なのは分かっているから
せめて、これ以上遼くんが苦しまないように
遼くんが、悲しくならないように……
そう、思っていたんだけど……
「……お前、気ぃ遣いすぎ」
美術館を後にして、私が自分のマンションに着いてから1時間後
玄関のドアを開けて、再びその姿を見たら……
「指示通り、誰にも見られないで来れたと思うよ」
「……遼く…」
「……悪い。 ……なんか、既に限界」
「………っ』
「……抱きしめて、いい?」
……もう、込み上げる想いを止められなくて
私の方から、その大きな胸に飛び込んでしまった。