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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第19章 今夜だけ、許して…
……心臓が、飛び出てしまいそうで
私の体は丸まったまま、後ろに振り返ることができない。
「………っ」
サイドテーブルに置かれた時計が、深夜の1時を指している。
遼くんが来たのは10時前だったから
意識を飛ばされてから、2時間近く眠っていたということだ。
「……こら、無視するな」
「………!」
寝相が悪い私は、1人暮らしでもダブルベッドにしていて
それでも、遼くんが左手を伸ばしただけで
数十センチ離れていた体が、再びその腕の中に戻された。
「………///」
後ろ向きのまま、抱きしめられて
きゅうっと胸が狭くなる。
……自分の涙で、ぐちゃぐちゃで
キスの雨でもう何も考えられなくなっていたけど
背中に密着する遼くんの体にも、まだ熱が帯びていて
連動するように、火照りが蘇ってきた。