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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第20章 溢れる笑顔
「……菜」
「………」
「春菜」
……7月初旬の、お昼過ぎ。
会社の屋上で、初夏の風に吹かれて
目を閉じていた私は、その声でハッと我に返った。
「……沙月……」
「ふふっ♪ 首がコックリしてたよ」
ゆっくりと振り返ると、両手にカフェのテイクアウトカップを持った沙月が
微笑みながら私の座るベンチに近付いてきた。
周りを見回すと、多くの社員達が屋上に来ていて
明るい太陽の下で、各々の昼休みを寛いでいる。
……って、私
1人でお弁当を食べていた後、そのまま……
「……風が心地良くて、寝ちゃってたみたい」
「うん、ほんと今日は気持ちいいね。
はい、これ奢り♪」
「わぁ、ありがとう」
ランチバッグにお弁当箱をしまって
隣りに座った沙月から、キャラメルシロップがかかったアイスラテを受け取る。
「ん~ 美味しい♪」
喉に冷たい刺激が伝わって、自然と笑みが溢れた。