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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第20章 溢れる笑顔

ユキの目線は、私の頭の上を超えていて

向けられた方向へ、私も体を回して振り返ったけど


「………?」


駅前の広場には、多くの人が行き交っていて

特に何も変わった様子は無い。


「ユキ?」

「・・・隠れた」

「え?」

「………」

「ねぇ、どうしたの?」


再び元の位置に戻して、ユキを見上げると

彼は眉を寄せて小さく溜息をついた。


「……ほんと、何考えてんだろうね」

「?」

「夫婦揃って、昔から意味不明なことする人達だったんだよ。
2人してサプライズ好きでさ」

「……??」

「久しぶりだから、忘れてた」


視線を海の方へ向けて、ユキは片手で口元を押さえたけど

私の頭にはハテナマークしか浮かばない。


「………」


沈黙の中、柔らかい風がユキの髪を揺らして

爽やかな彼の香りが広がった。


……あ、この香り……久しぶり……

ドキドキしたまま、その輝きを見つめていると……



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