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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第20章 溢れる笑顔
「……ちょっとお腹空いてるから、力が出なかっただけよ」
クルリと宙を舞ったイルカに、歓声が上がる中
そう言い訳しながら、体を前に向けると
「そうだね、俺も同じ。
今日まだ何も食ってない」
「えっそうなの?」
「水族館出たら食べにいこうよ。
この前行けなかった、隣りのロコフード」
「………!」
「どう?」
ユキが提案したお店は、江ノ島と相模湾を望める絶好のロケーションで
砂浜に繋がるテラス席のある、パンケーキで有名なカフェだ。
「~~賛成!
エッグスベネディクト食べたい!」
飛び跳ねてしまうくらい背伸びして、子供みたいにユキに向けて手を挙げた。
マフィンの上の半熟玉子と、濃厚なソースが絶品だって
甘いものが苦手な宮本さんが美味しそうに食べてたって、沙月が言ってたんだ。
「嬉しい~! 楽しみ!」
「4月の時も激混みだったけど、この時間帯なら少しはマシかな」
「いいよ! 並んでも行きたい!」
「あはは、さすが春ちゃん。じゃあ決まり」
ユキは笑いながら、手を上げて
私の伸ばした右手とハイタッチした。