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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第20章 溢れる笑顔
また後で来るから!と、途中でペンギンの水槽に話しかけて
1番奥にある、海に面したイルカのプールへと走っていく。
人混みをかきわけて、深海魚とクラゲのいる静かなブースは、ソロリとすり抜けて
満員の観客席の、後方の立ち見席に辿り着いた時には……
「うわ、顔真っ赤」
手の甲で爽やかに額の汗を拭うユキが
私を見て、ギョッとした表情で目を見開いた。
「春ちゃん大丈夫?」
「…はぁ……っ
だ、だって、こんな全力で走るの久しぶりで…」
「それにしても息切れすぎじゃない?
これ終わったら、おんぶしてあげようか」
「~~!/// 結構です!」
「遠慮しなくていいのに。
ほら、これでも意外と腕力あるんだよ」
Tシャツの袖をまくって、力瘤のポーズをするユキ。
……溜息が出てしまうくらい、美しい腕のライン。
でも、そんな細い腕に全体重を預ける勇気はありません。