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春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第21章 来世の、来世で
「お腹いっぱいだね」
服に砂が付くのとか、もうどうでもよくて
カフェから少し離れた砂浜の上に、私は腰を下ろした。
広大な海が目の前に広がって、波の音が心地良く響く。
「ぺー助とも無事再会出来て、良かったねユキ」
「うん、海の中を飛んでるみたいだった」
「………!」
「あのペンギンの水槽、よく出来てるよ。
あいつらにストレスがかからないように、うまく設計されてる」
私の右隣りに並んで座ったユキが、ふいにそんなことを言ったから
少し驚いて顔を横に向けた。
「造りとか……全然見てなかったわ」
「はは、普通そうだよね。
だけど俺、一応空間デザイン科だから」
「……!」
「必須実技のCAD、1ヶ月でバッチリマスターしたんだぜ♪」
私も空デにいたんだったと思い出すと同時に
得意げなユキを見て、彼が美大生であることを今更思い出す。
……私が居た頃は、単位ギリギリだったけど
良かった……ちゃんと通い続けてるんだ。